2024年2月4日(日)にEXシアター六本木で「Paul Weller」のライブを観ました。
「The Jam」、「The Sryle Council」、ソロと50年近いキャリアを持ち、尊敬と憧れの対象として
イギリスロック界の重鎮の一人であるPaul Weller。
「モッズ」ムーブメントに大きな影響を受け、「モッズ・リバイバル=ネオモッズ」を牽引した代表的人物とされていて、世代を超えて支持者が多く「モッド・ファーザー」とも呼称されています。
僕は90年代後半くらいから「MUSIC LIFE」「rockin’on」「CROSS BEAT」「SNOOZER」等音楽雑誌を読みはじめて、その中でPaul Wellerの名前を知るようになりました。
本人についての記事と当時大人気だった「oasis」らイギリスのロックバンドのインタビューや90年代中期のブリットポップムーブメントの関連、またはロックバンド「The Who」や映画「さらば青春の光」等の関連で「モッズ」が語られる中で名前を見たことが多かったと記憶しています。
「なんだかイギリスで随分と尊敬されている人みたいだ。」と音楽はまだ聴いたことがなかったですが、名前と姿、アルバムジャケット等を認識していきました。
そのルックスを見ればファッションリーダー的な存在でもあると見做されるのは納得ですし、ロックンローラーとしても凄みある雰囲気を感じていました。実際イギリス本国の空気感を知りませんし、自分とは遠い距離感の存在でもありましたけど。
それからPaul Wellerの関わる音楽を初めて聴いたのは、The Jamについてのトリビュートアルバム「Fire And Skill The Songs Of The Jam」で「oasis」の「Liam Gallagher」と「Ocean Color Scene」の「Steve Cradock」がカバーした「Carnation」で間接的に聴いたときかもしれないし、衛星デジタル番組で放送された多くのミュージシャンによる特集番組か何らかのコンピレーションアルバムで名曲「My Ever Changing Moods」を聴いたときだったかもしれません。この曲はその中でも特に気に入り、繰り返し何度も聴いた記憶があります。
そして、アナログレコードで買ったThe Sryle Councilのアルバム「Café Bleu」は上質な素晴らしいアルバムでした。時代の空気をスタイリッシュに反映し、ロックやR&Bをミックスさせて、その鋭敏な感性が迸る美しい音楽でした。
そしてThe Jamやソロの音楽でもパンク、ロックンロールの激しさと熱さ、スタイリッシュなお洒落さ、英国ポップ・ロックのアート感、メロディアスなポップセンスは魅力的で、僕にとってもブリティッシュロックの幾多のレジェンド達と同様の存在となりました。
The Jamの「All Mod Cons」や「The Gift」、名曲の数々を収録したベストアルバム、
The Sryle Councilの「Café Bleu」、ソロの「Wild Wood」「Stanley Road」「AS IS NOW」などは個人的にフェイバリットアルバムです。
今回のライブを観るにあたっても、現在のPaul Wellerがどのような音楽を聴かせてくれるのか、非常に楽しみでした。
<2024年2月4日 EXシアター六本木 セットリスト>
(Web上の情報を引用しました。情報のご提供に感謝いたします。)
Leah Weller
1. Freedom
2. Pale Blue Sky
3. Dive In
4. Something Sacred
5. Call Me by My Name
6. Change
7. Wonder
Paul Weller
- Rip the Pages Up
- Nova
- Cosmic Fringes
- My Ever Changing Moods
- A Man of Great Promise
- All the Pictures on the Wall
- Stanley Road
- Glad Times
- Village
- Hung Up
- Fat Pop
- More
- Shout to the Top!
- Jumble Queen
- Saturns Pattern
- Nothing
- Above the Clouds
- Into Tomorrow
- Start!
- Peacock Suit
Encore1: - Wild Wood
- Headstart for Happiness
- That Pleasure
- You Do Something to Me
- Broken Stones
- Mayfly
Encore2: - Town Called Malice
サポートアクトはLeah Wellerです。Paul WellerとThe Sryle Councilのコーラスで知られるD.C.Leeの娘でモデル、ミュージシャンでもあります。
シンプルなバンド編成でステージの中央箇所に集まるかのようにして演奏。
ライブで聴いて、Sadeのようなポップ・ソウルミュージックにミニマリズム的サウンド感覚と独創性を併せ持っている印象。両親から受け継ぐかのように歌唱力も高かったです。
あらためて発表されている作品を聴いてみたいと思いました。
そしてPaul Wellerのライブが始まりました。セットリストは近年の作品が多く、またそれらが活気あるロックンロールや情感の込もったバラードだったりでとても良かったです。あらかじめ前日までの公演のセットリストをチェックして、なるべく曲を聴きこんで臨みました。
オールキャリアからの名曲で構成されたセットリストを期待する気持ちもありましたが、結果的には現在のPaul Wellerの音楽を聴くことができて満足度が高かったです。そして、数々の名曲も聴くことができ、セットリストのバランスはとても良かったと思います。
バンドの構成はギターのSteve Cradock、ベース、キーボード、サックスにツイン・ドラム、ギター・ボーカルのPaul Wellerを含めて7人。
序盤各曲の個人的感想はというと、熱く盛り上がるロックンロール「Rip the Pages Up」、独創的で新鮮なロックンロール「Nova」、宇宙的ポップ感のあるロックンロール「Cosmic Fringes」
そして代表曲の一つ「My Ever Changing Moods」と続きます。遂にライブでこの曲を聴けた喜び。
見た目ではベテランと若手の混合編成のバンドにはアットホームな暖かい空気も感じました。
「Ocean Color Scene」では骨太で強力なリフを弾いていたSteve Cradockのギターは細やかで凄く上手。サックスも安定の演奏、キーボードは英国ロックの薫りを醸し出し、ベース担当者は重低音をしっかりと受け持ちつつ、ハイトーンのコーラスも素晴らしく、ツインドラムの二人はパワフルに且つ各自が役割分担しつつ時々他の楽器に持ち替えていました。
ドラムの一人 Steve Pilgrimさんは当日が誕生日だったらしく、観客の「Happy Birthday」ソングのお祝いに返事したり、ライブの中で何度か少しずつコメントもありました。
Paul Wellerのソロはどこかビンテージ感のあるロックンロールや大自然の森、木を感じさせるようで、またアメリカのBECKにも通じる新鮮で小粋なアイデアも豊富、そんな音楽をライブで実現させるバンド編成と思いました。
優れたミュージシャンが集まり大人の音楽を演奏しつつも、暖かさの中でどこか即興性や遊び心ある実験的演奏も繰り広げられる感じというのでしょうか。
その後、アンコール迄に特に個人的に印象が強かった曲は「All the Pictures on the Wall」「Village」「Shout to the Top!」「Into Tomorrow」「Peacock Suit」等です。
セットリストのいずれの曲も素晴らしく、まるで祝祭のような時間が流れていました。
アンコールでは想定外の「Wild Wood」が登場、これは非常に嬉しかった。素晴らしいフォークソングタイプの歌ものです。「You Do Something to Me」や「Mayfly」等も、アンコールではまるで音楽が体の芯まで、心身の全てまで伝わっている感覚でした。
そして1回目のアンコールが終わり、ステージ退場後の手拍子は鳴り止まず、再登場のPaul Weller達に送られる大歓声と会場の熱気はクライマックスに。
2回目のアンコールで演奏された曲はThe Jamの「Town Called Malice」!
若かりし頃と変わらず旋風の如く鳴らされるパンク・ロックンロールの名曲、会場は最高の盛り上がりを見せました。
自分があれほどライブの場で高揚した感覚は初めてかもしれません。
まさに英国ロックのレジェンドを目の当たりにした最高のライブでした。
ソングライターとしても天才的な才能を持ち、ロックンローラーとしても他の誰でもないPaul Wellerとして永遠に時空に刻むかのようなパフォーマンスを、音楽を残せる人と思います。
2回目のアンコール後にはPaul Weller自身も観客の熱気に興奮しているかのようで、また日本に戻ると言って去っていったと記憶しています。