2023年4月14日(金)、BOB DYLAN(ボブ・ディラン)のライブを観ました。
場所は東京ガーデンシアターで、僕は初めて訪れた会場でした。

開演迄に数十分あったので、間に合うだろうと、グッズ売り場に並びました。色々と考えた結果、Tシャツ2枚とマグカップを購入。Tシャツはアルバム「DESIRE」期の若かりしDYLANの写真をモチーフにしたものと、最新アルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」からデザインしたものを選びました。それから、自宅では飲み物を基本的にマグカップで飲む僕には最適のマグカップを選択。良い買い物ができました。。

僕の席は3階ですが、ステージからは多少距離があるものの、遮るものはなく余裕を持って見渡すことができる感覚でした。

いよいよ御大BOB DYLANがバンドメンバーとステージに登場して、演奏スタート。
数年ぶりに生で自分のすぐ近くにBOB DYLANがいるという事実が嬉しい。
BOB DYLANの音楽を聴くということについては、1960年代からの、もしくはDYLANの音楽を形成するもとになるそれ以前の歴史、またDYLANのリスナーとしての自身の記憶を合わせ、そしてDYLANが未来に何を見つめているのかといった色々なことを思い巡らしながら聴くという感覚があり、ただただ私的な思いに浸っていました。
同時にDYLANの歌と演奏、バンドメンバーの演奏の一音一音を聴き逃さないよう集中することが求められます。

1曲目は「Watching the River Flow」、1971年のシングル曲でベスト盤にも収録される曲ですが、所謂通好みで、一般的な知名度はそれほどではない曲ではないでしょうか。この頃のディランは音楽シーンに衝撃を与えることは望まず、静かな生活を送りながら、穏やかな作品を作り続けていたらしいです。ともあれライブ演奏は、やはり凄腕のメンバーとともにアメリカントラディショナルの深みを聴かせてくれて、あのDYLANの肉声が聴こえる場に立ち会っている現実に、当然のごとく気持ちが盛り上がります。
2曲目は「Most Likely You Go Your Way and I’ll Go Mine」、最高傑作に推されることも多い名盤「Blonde on Blonde」からの1曲で、軽快なロックナンバーにして、邦題も「我が道を行く」とカッコいいです。エンターテイメントとしてのロックのライブを観ているというノリになります。


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3曲目は最新アルバムから「I Contain Multitudes」、歌ものとして素晴らしく、まるでこの世のものではない世界に繋がっている感覚になるようで、僕自身が今回のライブを観ようと決断したきっかけになった1曲でもあります。
ライブの場では、原曲が分からないほどメロディーを変えることが多いDYLANですが、この曲はアルバムバージョンに忠実な歌唱、演奏だったと思います。最新のDYLANを聴いている気分になります。


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ここから先は僕が最新アルバムの内容を掴みきれていないこともあり、駆け足になりますが、「When I Paint My Masterpiece」「 I’ll Be Your Baby Tonight 」「To be Alone With You」この辺りはどれも前述の静かな生活をしていた時期の楽曲で、渋いセレクションという印象です。僕も何度か聴いてはいますが、まだまだ十分な理解には至っていない感覚があります。「When I Paint My Masterpiece」などは本国においては人気曲らしいですが。
ただ、この時期の「Nashville Skyline」は個人的に大好きなアルバムです。

「My Own Version of You」は最新アルバムからの曲で、音楽的に不穏さ、ダークな空気を醸し出しますが、そこが魅力的でもあります。インストゥルメンタルで演奏しても良い感じになりそうな1曲。
「Key West」は最新アルバムの中でも出色の出来として注目されており、歌詞も音楽的にも遠くの楽園を目指して悠然と旅をするかのようで、心の安楽に至る感覚になります。といってもDYLANの曲を批評すること自体が難しいので、個人的な感想というところですが。

そして、今回ツアーのセットリストでも比較的に有名な「Gotta Serve Somebody」はこれまでのトラディショナルミュージック的な落ち着いた演奏から打って変わりエレキギター主体のハードロックの演奏に。まるで2010年ツアーの「All Along the Watchtower 」を彷彿とさせるような激しい演奏に興奮します。この曲を収録した「Slow Train Coming」は、他にも音楽的に魅力的な曲が揃っていて人気の高いアルバムです。僕も聴いた回数が多く、アルバムの存在感としては「Oh Mercy」辺りと並ぶようなフェイバリットです。

バンドの演奏は各人が均等に見せ場を作った印象です。
メンバー紹介ではベーシストにしてバンドの要、DYLANバンド在籍歴の長い、Tony Garnierのときに歓声が大きかったような。 

そしてライブも終盤に差し掛かり、もうすぐこの時間が終わってしまうのかと寂しさが募りますが、セットリストはかつての名曲、ヒット曲を並べるのではなく、最新アルバム中心の内容で、DYLANらしく、ぶれずに我が道を行く姿勢が相変わらずカッコいいです。
一度くらいDYLANの膨大な作品群から選りすぐりの名曲を揃えて原曲に忠実な歌唱、演奏を聴かせるセットリストのライブを観たいと思うのですが、それを決めるのはDYLAN本人ですから、そういったところを含めてこれからも聴いていくつもりです。(追記:2010年に僕が観たライブのセットリストはオールキャリアの名曲満載でした。失礼しました。アレンジ、歌唱は多々変えていたと思います。最っ高のライブでした。)


DYLAN THE BEST [通常盤] / ボブ・ディラン

ラストは「every grain of sand」、歌詞も音楽も集大成的な、まるで聖歌のような響きを感じさせる名曲です。
深い思いを込めた歌唱、演奏に心から感動しました。歌詞を歌い終えて、DYLAN自身によるハーモニカ演奏は、煌めくような閃光と切ない情感を放つようで、僕自身の音楽体験における最高の瞬間だったと感じました。最後にこのような音楽を聴くことができて、会場全体が凄く盛り上がっていたと思います。


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本当に今回のライブを観て良かったと後悔は無かったのですが、この後急遽予定になく二日後のライブもチケットを購入する展開に。
折角のDYLAN来日の機会ですから、もっと多く観たいと思ったのです。

4月16日(日)のライブを観た感想も明日以降に書くつもりです。


 

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